プロジェクト管理方法
最高のプロジェクト管理方法
プロジェクト管理には複数の方法があるのでしょうか?実際にはかなりの数の方法があり、いくつかの方法を組み合わせハイブリッドアプローチを構築することもあります。方法とは実際にどういうもので、プロジェクトチームをどのようにサポートするのでしょうか?また他より秀でた方法とはどういうものなのでしょうか?
プロジェクト管理方法とは、本質的にはプロジェクトへの様々なアプローチを意味しており、独自のプロセスとワークフローを持っています。P
人気のある方法へのクイックビジュアルガイドをお求めの際は、ブログやインフォグラフィックをご覧ください: プロジェクト管理方法のトップ16
ここでは人気のあるプロジェクト管理方法を、類似性や人気を基にいくつかのグループにまとめてみました。
A. 従来のシーケンシャル方法
ウォーターフォールプロジェクト管理方法
プロジェクトを企画する際の最も一般的な方法とは何でしょうか?それは最終的な成果物につながるタスクを順序付けし、順序通りに作業を進めることです。これはウォーターフォール方法と呼ばれ、プロジェクト管理の従来の方法であり、最も理解しやすい方法です。全体の成果物に追加するアイテムに順序通りに取り組み、1つのタスクを完了してから次のタスクに取り掛かります。物理的対象物(建物やコンピュータなど)を完成するプロジェクトでは理想的な方法であり、プロジェクト計画は今後のプロジェクトの際に容易に再現できます。
この方法の利点はすべてのステップが事前に計画され、正しい順序で説明されていることです。プロジェクト開始時には最も容易に採用できますが、顧客のニーズや優先度が変化した場合はタスクの順序が乱れ、管理が困難になるという点があり、予測性はすぐれていますが柔軟性に欠けています。
クリティカルパス方法(CPM)
1950年代に開発されたクリティカルパス方法は、事前のタスクが完了するまで開始できないタスクが存在するというコンセプトをベースにしています。ここでは開始から完了までに依存関係のタスクをつなぎ合わせることでクリティカルパスを策定します。
このクリティカルパスを特定し重点を置くことによって、プロジェクトマネージャーは最も重要な作業に優先してリソースを配分し、チームの重荷となっている優先度の低いタスクのスケジュール変更を行います。これによりプロジェクトのスケジュール変更が必要な場合でも、最終的な結果の遅延なしにチームの作業を最適化できるのです。
クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)
クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントは、クリティカルパス方法をさらに一歩進めた方法です。クリティカルパスに使用可能なリソースを追加し、プロジェクトのタスク完了に必要なリソースに焦点を当てます。またプロジェクトのスケジュールを立てる際にこれらのタスクの時間にバッファを持たせ、プロジェクトの期限通りの完了を保証します。
B. アジャイル開発方法
アジャイルプロジェクト管理方法は、革新ペースの加速と競争の激しいビジネス環境のおかげで人気が高まってきました。アジャイル方法は一般的に、短い反復サイクルと柔軟性を優先します。
ここでは人気のあるアジャイルフレームワークをいくつかご紹介します。
アジャイルプロジェクト管理方法
2001年に開発されたアジャイル方法の核心部は4つのコアバリューです:
- プロセスとツールよりも個人とインタラクション
- 総合的な文書よりも実用的なソフトウェア
- 契約交渉よりも顧客とのコラボレーション
- 計画に従うよりも変化に対応
本方法のソフトウェア開発におけるアジャイルマニフェストは、バリューの提供と顧客とのコラボレーションにおいて画期的な考え方を掲示しています。今日アジャイルという言葉はこれらのバリュー、およびバリューを実践する以下をはじめとするフレームワークに言及しています:スクラム、カンバン、エクストリームプログラミング、適応型のプロジェクトフレームワーク
これらの様々なアジャイルフレームワークに共通するものは何でしょうか?
プロジェクトの目標は顧客(社内外)が明確にしますが、最終的な成果物はプロジェクトの進行に伴って変化することがあります。プロジェクトチームは反復サイクルで作業を進め、サイクル終了時にその成果を評価します。評価の結果によっては、顧客のニーズを満たすために最終成果物の修正が必要となることもあります。ここでは、プロジェクトメンバー間、およびプロジェクト関係者との継続的なコラボレーションが重要です。
スクラム
比較的シンプルに使用できるスクラムは、最も人気の高いアジャイル開発フレームワークと言えるでしょう。開発サイクルが複雑で柔軟性を持たないプロジェクトプラン、またプロダクションスケジュールの変更など、過去にソフトウェア開発者が苦労してきた多くの問題を解決します。
スクラムでは、小規模のチームを先導するスクラムマスターが、作業をより効率的に進めるためにすべての障害物を排除します。チームは「スプリント」と呼ばれる2週間のサイクルで作業を進めますが、チームメンバーは日々ミーティングを持ち、その日の作業状況や作業の障害となるものについて話し合います。本方法は迅速な開発やテストを可能にし、特に小規模のチームに適しています。
カンバン方式
カンバン方式もまたアジャイル実装のフレームワークの1つですが、作業を実行するチームの生産能力をベースとしています。1940年にトヨタ工場で使用開始されたこの方法は、もともとカード(「カンバン」)を使用し、原料の追加が必要な場合やチームに作業の余力がある場合にカードを使って視覚的に表示してきました。
今日この視覚的アプローチは、プロジェクトの中での一定のアウトプットを要する生産作業に適しています。プロジェクトチームは付箋紙やホワイトボード(またはオンラインで使用できるバーチャル版)を使って視覚的に表示し、所定の段階での作業の進捗に合わせてメモやタスクを移動し、障害のあるエリアを特定します。
エクストリームプログラミング(XP)
エクストリームプログラミングもまたアジャイル方法の1つで、顧客のニーズに合わせてソフトウェアの品質(および簡素さ)を向上させ、開発チームの能力を改善する方法です。本来のアジャイルフォーミュラと同様に、XPは短期のスプリント、頻繁なイテレーション、および関係者との持続的なコラボレーションという特性を持っています。スプリント内でも変更は発生します。特定の機能で作業が開始していない場合は、同様のタスクとの差し替えが可能です。
適応型のプロジェクトフレームワーク(APF)
要件が不安定で変化しやすいITプロジェクトの管理は従来のプロジェクト管理方法では困難であったため、適応型のフレームワークが開発されました。
APFは要件分解構造(RBS)から始まり、プロダクトの要件、機能、副次機能、特性をベースとしてプロジェクトの戦略目標を定義します。プロジェクトは反復ステージを続け、各ステージの終了時に結果を評価し、パフォーマンスおよび実務の向上につなげます。チームが最大の事業価値を生み出すために、関係者もまた各ステージの開始時にプロジェクトのスコープを変更することができます。
変更管理
プロジェクト管理のおいても、変革管理— 特にリスクに備えたプランと変革の管理に重点を置く方法もあります。以下がその主な手法です:
イベントチェーン方法(ECM)
イベントチェーン方法は、プロジェクトのスコープ外にしばしばリスクが潜んでいるという考えをベースとしており、これらのリスクに対して対策を整えることが重要です。なぜそれが必要なのでしょうか?予期せぬ出来事はプロジェクトのスケジュールや成果物に影響を及ぼし、最終的にはプロジェクトの成功を脅かします。
エクストリームプロジェクトマネジメント (XPM)
エクストリームプロジェクトマネジメントはウォーターフォールと逆の方法で、大きな変更に対処しながらプロジェクトを完了します。XPMでは、プロジェクトがどの段階にあるかに関わらず、ニーズの変化に合わせてプロジェクトの計画や予算、また最終的な成果物を修正することができます。数日や数週間の短いタイムラインのプロジェクト管理に適したオプションです。
D. プロセスベースの方法
それでは次に、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)領域で使用できるプロジェクト管理方法に目を向けてみましょう。それぞれの方法では作業にプロセスの一群として重点を当てます。プロセスマネジメントの純粋主義者はこれらの方法は異なる方法例であると主張するかもしれませんが、我々はプロジェクト計画の策定と実行に有効な方法であると考えます。
リーン
リーンは無駄を省いて合理化する方法です。まず作業プロセスを分類し、障害や遅滞、すべての無駄を特定して排除します。目標は作業を減らしてより多くを達成することです。より少ないリソースや予算、時間で、顧客に対してさらに大きな成果をもたらします。
シックスシグマ
シックスシグマはエラーや欠陥を評価し、できるだけ多くを排除することで、プロセスのクオリティを向上させる統計ベースの方法です。そのため、完成プロダクト(プロジェクトの成果物)の99.99966%に不良品がなければ、プロセスはシックスシグマを実現できます。
リーンシックスシグマ
リーンの最低限度のアプローチ(「無駄なし!」)とシックスシグマの品質改善(「不良品なし!」)を組み合わせたリーンシックス・シグマは、無駄の排除に重点を置くことでプロジェクトがより効率的になり費用効果が向上し、顧客のニーズを真に満たします。
プロセス指向のプロジェクトマネジメント
プロセス指向のプロジェクトマネジメントは、プロジェクトのすべての目標を、会社の大きな使命およびコーポレートバリューと合致させる方法です。プロジェクトのすべての目標は戦略性を維持し、企業が持つより大きな目標を達成するものでなければなりません。以下のステップに従って実行します:プロセスを定義し、メトリックスを構築し、プロセスを測定し、これらが不安定な場合は目標を修正し、改善方法を立案し実行します。
E. 他の方法
PRINCE2
PRINCE2は、「projects In controlled environments - 管理された環境でのプロジェクト」の略です。イギリス政府がプロジェクト管理に使用した方法で、プロダクトベースのプラニングアプローチを特徴としています。PRINCE2では、ビジネスの正当性の設定やリソース配分などの高レベルのアクティビティは組織化されたビジネス委員会が担当し、プロジェクトマネージャーは、スケジューリングをはじめとする低レベルの日々のアクティビティを担当します。本方法は効果的にリソースを管理し、リスクを緩和します。
PRiSM
PRiSM方法は「projects integrating sustainable methods - 環境維持を統合したプロジェクト方法」を略したもので、 環境持続をプロセスに組み込みながら変化に対応するプロジェクト管理方法です。PRiSM方法の目標は、企業が環境や社会に与えるマイナスの影響を減らしながらプロジェクトを完了することで、文字通りのグリーンプロジェクト管理です。
ベネフィットリアライゼーション
プロジェクトの開始から実行、納品、またそれ以上において、ベネフィットリアライゼーション手法は、プロダクトが予算内で期限通りに納品されたかだけではなく、成果物が顧客の求めるニーズを満たしているかに重点を置いています。本方法は顧客や関係者に真のバリューを提供するための方法です。
F. PMBOK「手法」
これが真のプロジェクト管理方法と呼ばれるかについては賛否両論があるかもしれませんが、プロジェクト管理にPMBOK手法(project management body of knowledge - プロジェクト管理知識体系)を採用する企業もあります。
この方法では簡単に言うと、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の同意を得てプロジェクトを5つのプロセスに分割し、プロジェクト管理知識体系(PMBOK)ガイドに記載します。以下が5つのステージです:
- 開始
- 計画
- 実行
- コントローリング
- クロージング
前項でご紹介したプロジェクトライフサイクルと似ています。厳密に言うと正式な方法ではありませんが、プロジェクト管理のコミュニティでは広く利用されています。
PMBOKガイドには何が含まれているでしょうか?
PMBOKはプロジェクト管理業界の基準となるプロセス、ベストプラクティス、用語、およびガイドラインを収集しています。プロジェクトマネジメント協会(PMI)がまとめ、管理するプロジェクト管理知識体系ガイド(PMBOK Guide)に含まれています。
PMBOKはプロジェクトマネジャーにガイドラインとベストプラクティスを提供し、プロジェクトライフサイクルからプロジェクト管理戦略およびコンセプトまで、そのすべてを定義します。PMBOKガイドはまた、プロジェクトライフサイクルを通して相互作用し重複する、様々なプロセス管理プロセスの詳細を説明しています。
PMBOKの10のプロジェクト管理知識領域
PMBOKでは、47のプロジェクト管理プロセスが正式に特定されており、10の知識領域に分けることができます:
- プロジェクトコミュニケーション管理:チームメンバーや外部関係者に情報を広め、そのすべての情報が継続的に伝達されており、さらに重要なことは関係者全員がきちんと理解していることを確認するプロセス
- プロジェクトコスト管理:予算、資金、支出配分、タイミングに関するプロセス。コスト管理は、時間管理からの行動予測に依存しています。
- プロジェクト人事管理:ソーシングや雇用、役割配分、専門能力の開発、チームスピリットの育成に関わるプロセス
- プロジェクト統合管理:その他すべてのプロセスとプロジェクト管理アクティビティを定義し、集約し、調整するプロセス。期待事項を設定し、常にコミュニケーションを取るための重要なプロセスです。
- プロジェクト調達管理:作業を完了するためのプラニング、予算策定、リソース購入(物的リソースまたは情報であるかに関わらず)のプロセス
- プロジェクトクオリティ管理:プロジェクトの完了およびプロジェクトが完了したかを検討する条件を定義するプロセス。クオリティは、プラニングから継続的パフォーマンス改善までのすべてのステージで管理されます。
- プロジェクトリスク管理:予想外のリスクへの対応とリスク管理に関わるプロセス
- プロジェクトスコープ管理:プロジェクトのスコープまたはパラメータを管理するプロセス。スコープが正確に定義されており、すべての要件がスコープを超えていないかを管理します。
- プロジェクト関係者管理:プロジェクトの影響を受ける人を特定し、プロジェクトの方向性や実行において関係者とのコラボレーションを促進し、関係者とのリレーションシップを管理します。
- プロジェクトタイムマネジメント:プロジェクトを期限前に完了させるためのプロセス
次のステップ
最適なプロジェクト管理方法の選択
様々なオプションがある中で、貴社のプロジェクトとチームに適した方法をどのように選べばいいのでしょうか?プロジェクトとチームのニーズを満たす方法を選ぶためのヒントを2つご紹介します:
A. 結末を念頭においたスタート
プロジェクトの要件、目標、目的を確認してください。成果物はどのようなもので、どのようなメリットを提供する必要があるでしょうか?以下の例をご覧ください:
- それが、建物や家庭用品などのように非常に明確な材料と利害関係者の明確な期待を伴う物理的なオブジェクトである場合、ウォーターフォールやクリティカルパスなどの逐次的な方法の恩恵を受けることができます。
- ソフトウェアやアプリのように変更が発生する可能性がある場合は、柔軟性のあるアジャイル方法が適しています。
- 環境維持が組織のコアバリューとなっており、プロダクトの提供に必須ですか?その場合はPRiSM方法を検討してください。
- 「 minimum viable product(最小限の実行可能な製品)」の迅速な開発が最も重要な場合は、リーンまたはリーンシックス・シグマのようなプロセスベースの方法を検討してください。
B. 過去に成功を収めたプロセスの評価
過去にプロジェクトが成功し、すでに整備されている作業プロセスの使用の検討も忘れないでください。チームはどのような作業環境でその力を発揮できるでしょうか?
- チームがコラボレーションや新規アイディアの採用、ニーズの変化による直前の方向転換などに対応できる場合は、スクラムやカンバン方式、XP、APFなどの方法を検討してください。
- タスクを順序通りに達成する、体系化された標準的プランが望ましい場合は、ウォーターフォールやクリティカルパス、クリティカルチェーンプロジェクト管理などが適しています。
本項では複数の方法をご紹介してきました。次のステップでは、プロジェクトの開始から完了をプラニングするために、プロジェクトライフサイクルの各ステップをより深く理解していきましょう。
次項では、プロジェクトライフサイクルで学ぶべきすべてについて説明します。