プロジェクト開始から終了までの管理方法
プロジェクト開始から終了までの管理方法
新任のプロジェクトマネージャーにとって、プロジェクトの管理は容易い仕事ではないかもしれません。小さなプロジェクトでも変動要素が多く複雑になる場合があります。プロジェクトを管理しやすいフェーズとタスクに分割し実証されたプロジェクト管理プロセスに従うことが、プロジェクトの管理を成功させる最善の方法です。
プロジェクト管理のプロセス
プロジェクトの管理には、以下から構成される5つのプロセスグループがあります。/p>
- プロジェクトの開始。アイデアが承認され、プロジェクトとなるフェーズです。ここでプロジェクト憲章を作成します。
- プロジェクトの立案。このフェーズでは、何を、どのように、いつまでに成し遂げる必要があるか、誰がそれを行うのか、全体をどのように監督し制御するのかを含めたプロジェクトのすべての作業の計画を立てます。プロジェクト管理プロセスの大部分はこのグループに含まれます。あらゆるプロジェクトマネージャーが、プロジェクトの成功はそのプラニングにかかっていると言えるのも理解できます。
- プロジェクトの実行。実際の作業が発生するフェーズであり、コミュニケーションや品質、プロジェクトチームの管理などが含まれます。
- プロジェクトの監督とコントロール。このフェーズは他のフェーズと重複し、プロジェクトを計画に従って進めるためのすべてのプロセスが含まれ、スコープ、スケジュール、および予算を管理するプロセスが含まれます。
- プロジェクトの終結。この時点で、プロジェクトはその目標を達成 して(または未達) 完了し、プロジェクトをまとめるための終結プロセスが実行されます。
PMBOK (プロジェクトマネジメント知識体系ガイド) の第6版では、この5つのグループには合計49のプロセスが含まれると記されています。以下に示す49のプロセスは、あらゆるプロジェクト管理において実証済みのストラクチャを提供し、成功の可能性を高めます。
プロジェクトを効果的に管理する方法
プロジェクトを効果的に管理するには、以下に示す統計情報も必要です。
PMIの2018年パルス調査から、以下の3つの要因がプロジェクトを成功させる上で最重要であると言う結果が出ています。
- 積極的に関与する優良スポンサーを利用する
- プロジェクトのスコープに潜む、スコープクリープや制御不可能な変更を避ける
- 価値を実現する能力を成熟させる
- この調査によると、プロジェクトの失敗には主な理由が3つあるとされています。組織の優先順位の変更
- プロジェクト目標の変更
- 誤った要件の採用
幹部の関与や頻繁な意思疎通は、組織の優先順位およびプロジェクト目標の整合に役立ちます。会社にポートフォリオマネージャーがいれば、その存在も利用できます。誤った要件を採用するリスクを軽減するには、以下のアドバイスを考慮してください。
- プロジェクトの目標、ゴール、および成果を明確に定義する
- 制約を特定した上で、スコープを明確に記述する
- プロジェクトの最終成果物を納品するエンドユーザーを含む主要な関係者を交えて、要件採用についてのセッションを開く
- 関係者が要件を正式に承認するために、要件のレビューおよび承認するためのミーティングを持つ
- あらゆる要件変更について監査証跡を維持するために、すべてについて文書を作成する
プロジェクト管理を成功させるためのさらなるヒント
プロジェクト管理のスキルを向上させ、プロジェクトをより効果的に管理するためのヒントを3つ紹介します。
ヒント1: 常にコミュニケーションを取る
プロジェクトマネージャの仕事のおよそ90%はコミュニケーションだと言われています。チームやその他すべての関係者との頻繁なコミュニケーションは、非常に多くのメリットをもたらします。以下の例をご覧ください。
- 全員がプロジェクトに常に積極的に関与できる
- 想定と理解の一致を図ることができる
- リスクや潜在的な問題を早期に特定できる
- 対立や修正の可能性を軽減できる
他のチームメンバーの作業は終わっているにも関わらず、まだ終了していないと思い込こんで時間を持て余しているメンバーがいるというのは最も避けたい状況です。あるいは、スコープの変更により不必要になったデザインの一部の作業を誰かがまだ続けているような事態も望ましくありません。プロジェクトの作業をするメンバー、またプロジェクトに直接影響を与えるすべての人が参加し、プロジェクトのステータスについて話し合うミーティングが必要です。これによって全員が最新情報を共有し、問題が発生した最は話し合いができます。またプロジェクトの状況を伝えるために、すべての関係者に対して定期的にプロジェクトの状況を報告します。問題が発生した場合には、関係者全員に可能な限り速やかに伝えることが重要です。問題提起が遅れると解決が困難になり、会社内での自身の立場に影響を与える可能性もあります。誰も「問題を隠している」と思われたくはないはすです。
ヒント2: 先を見越して行動する
プロジェクト管理においては特に言えますが、いかなるプランも完璧には機能しません。プロジェクトの変更による影響を最小化するためには可能な限り先を見越した行動が必要であり、リスク管理がその大部分を占めています。リスクを早期に特定し、既知のリスクについてチームとともに定期的に検討し、リスクの変化や新たなリスクの発生を確認します。リスクが特定されれば、その発生の軽減に向けての計画、また発生した際の対処法を決定し、どのような影響があるのか、またそれにどのように対処するかを検討します。何かあった場合の「第2案」は考えていますか? どのようなマイルストーンや成果物が必要か、チームがそれに向けてどのように取り組むかも理解しておかなければなりません (ここでも頻繁なコミュニケーションが鍵になります!)。プロジェクトの納入日になってから、納品にさらに2週間かかることに気づくような事態は避けなければなりません。
ヒント3: 自分は独りではないことを認識する
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成功に独りで責任を負っている訳ではありません。そのように感じることはあると思いますがそうではないのです。特に新たにプロジェクトマネージャーに任命された場合、専門家や他のスタッフの支援に頼ることが大切です。またスポンサーに定期的に情報を提供してプロジェクトに関与してもらうとともに、問題を提起して相談することも必要です。プロジェクトの重要なリソースが失われた時などは、支援するスポンサーの方が迅速かつ容易に代替のリソースを見つけられることもあるからです。また信頼できる有能な人材を集めたチームの構築も不可欠です。課題についての専門家や、過去に類似のプロジェクトに参加した人材を活用します。必要な場合は質問したり、助言を求めることが必要です。貴社に教訓をまとめたデータベースがある場合は過去に実行された類似のプロジェクトについて調べ、ベストプラクティスやヒント、アドバイスを参考にします。特定の分野についてより多くの経験を持つプロジェクトマネージャーとの話し合いも有効的です。プロジェクトの管理、制御、および報告に役立つプロジェクト管理のテンプレート、ツール、ソフトウェアの利用も必要です。時間を節約でき、プロジェクトの可視性を高めるとともに、潜在的な問題の発見にも役立ちます。
参考文献