プロジェクト定義
すぐれたプロジェクト定義の重要性
プロジェクトが失敗する理由とは何でしょうか?それは予測できません。その理由は様々ですが、プラニングとプロジェクト定義がしっかり確立されていないことは、失敗につながる大きな理由の1つです。PMIが実施した「2017年度Pulse of the Profession」アンケートでは、 プロジェクトの37%が「進捗を測定するための目標およびマイルストーンが明確に定義されていなかった」ために失敗したと報告されています。
プロジェクトの定義は現実的な予測を立て、プロジェクトのライフサイクルに対し明確なビジョンを掲示するために大変重要です。プロジェクトの定義(プロジェクトチャーターとしても知られる)はプロジェクトの主な目標と条件を確立する文書です。
すぐれたプロジェクト定義は スコープクリープ 予算超過、および 従業員の燃え尽き症候群のチャンスを低減し、予算内・期限内の納品の地固めをします。これらの条件を不明確なままにしておくことが大きな障害につながることは間違いないでしょう。
プロジェクト定義は、プロジェクトのライフサイクル中にステークホルダーやプロジェクト関係者が確認するためにも使用できます。
プロジェクト定義とは何でしょうか?
プロジェクト管理のライフサイクルは各フェーズに分割できますのライフサイクルは各フェーズに分割できます。PMBOK (Project Management Body of Knowledge - プロジェクト管理のライフサイクルは各フェーズに分割できます知識体系ガイド)ではこれを開始、プラニング、実行、管理、監視、そして完了のフェーズに分けています。プロジェクト定義は通常、開始フェーズで掲示します。
まず初めにプロジェクトのパラメータを定義します。ご自身およびプロジェクトに関連するステークホルダーに以下の質問をしてみてください。
- プロジェクトの目標、目的は何か、また制約の可能性があるか?
- プロジェクトのスポンサー、およびプロジェクトマネージャーは誰か?
- プロジェクトの成果物は何か?
- このプロセスにおいて、ステークホルダーおよびプロジェクトマネージャーが認識すべきリスクは何か?
リスクの識別はコンティンジェンシープランをの助けとなるため、検討すべき事柄です。 過去に計画通りに100%成功したことがありますか?滅多にあることではありませんので、事前に手を打っておくことは時間通りに予算内でプロジェクトを納品するためには必ず必要です。
またプロジェクト実行中に提供されない 事項についての説明を加えることも有益です。プロジェクトのスコープ以外について説明することで、プロジェクトに求められるものがプロジェクト開始時から明確となり、管理しやすくなります。
この方法でパラメータを説明することにより、スコープスリープの可能性が少なくなります。両当事者がプロジェクトの境界を認識することで、プロジェクトリーダーは顧客が求めるものをプロジェクトの着手時点から管理することができるのです。
プロフェッショナルサービス業界は本質的にクライアントを大変重視しています。プロフェッショナルサービス企業はサービス(法律業務や会計業務など)の提供、またはクライアントおよび顧客の代理としてキャンペーンやプロジェクト(マーケティングまたはITコンサルタント)を実行します。
そのためには、スコープや成果物、その他の条件を定義して成功に向けてのプロセスを準備することが重要です。これによりプロフェッショナルサービスのマネージャーとクライアントの間に透明性が生まれ、理解度が高まります。
以上の情報はすべて、プロフェッショナルサービス契約(PSA)と呼ばれるドキュメントに明記されています。
PSA契約とは何でしょうか?
クライアントとベンダーの関係はそれぞれ独自なものであり、プロフェッショナルサービス契約は業者やコンサルティングチームによって異なります。各クライアントの特定ニーズにPSAを適応させることはプロジェクトの有効な出発点となります。
クライアントによっては、プロジェクトサービス契約に含めるべき情報について社内要件がある場合もあります。例えば、慎重な対応が必要なプロジェクトには機密情報に関するセクション
が必要です。これらの同意書や契約書はプロジェクトや業界の特質に適した概要を構築するために修正することもできます。
PSAには以下のセクションが含まれます。
- 作業のスコープ
- 成果物
- 作業のスケジュール
- 対価
- 機密性
貴社が、専門的資格を取るための教育リソースを提供するモバイルアプリの構築をアプリ構築企業に依頼したとします。
このようなプロジェクトでは、成果物と作業スケジュールのセクションで、試験問題やプロトタイプ、およびアプリの外観や機能のモックアップなどのコンテンツの構築、および発売時にバグがないように実施するベータテストのタイムラインを明記します。
PSAにはプロジェクトのフェーズに加え、プロジェクトマネージャーや変更指示についての情報も含まれます。変更指示のセクションでは、プロジェクトのスコープが変更した際にどうなるかを説明します。例えば、プロジェクトのスコープ拡大のリクエストは書面で作成し、両当事者の同意が必要である旨を明記します。
プロジェクトの予算や貴社への支払い方法などの詳細もプロジェクトサービス契約に含めます。
プロフェッショナルサービス契約の種類には何がありますか?
前述しましたように、プロフェッショナルサービス契約は、すべてのプロジェクトやビジネスで全く同様の「汎用的」なドキュメントではありません。
これらの契約はプロジェクトのタイプ、クライアントの料金/請求体系、プロジェクトの期間、また提供するサービスの本質によって異なります。
プロフェッショナルサービス契約には、定額契約体系、実費精算契約体系、上限契約体系、マネージドサービスの契約サービス体系、雇用ベースの契約体系、定期サービスの契約サービス体系などが含まれます。
定額体系と雇用ベース体系の比較
最も一般的な価格体系は定額契約と雇用ベース契約です。
定額契約体系においては、プロフェッショナルサービス企業は同意されたサービスや成果物を定額で提供します。この体系には マテリアルの価格変動は考慮されていないため、企業によっては理想的な体系でないかもしれません。貴社のビジネスがベンダーのコストに依存しない場合は、定額体系が適している場合もあります。
雇用ベース契約は異なるタイプの契約で、組織または個人が提供されるサービスの料金を一括払い、または分割で支払います。雇用ベースの支払いは弁護士の裁判作業のような請求可能な作業とは別に請求し、雇用ベース体系は法律やコンサルタントのサービスで一般的に利用されます。
プロジェクトスコープ記述書の書き方
プロジェクトスコープ記述書とは何でしょうか?
プロジェクトスコープ記述書は、プロジェクトの主な要素を分かりやすい表にしたもので、少なくとも以下が含まれます。
- スポンサー/ステークホルダー
- スコープ
- 目的
- 要件と成果物
- 制約と想定
プロジェクトスコープ記述書を作成されたことのない場合は、オンラインに多くの例やテンプレートが紹介されています。
プロジェクトスコープのステートメントをドキュメントおよび情報に追加することは、チームが効果的で総合的なプロジェクトマネージメントを実行する上で極めて重要です。