プロジェクトの請求
プロフェッショナルサービスプロジェクトの請求方法
プロフェッショナルサービスを提供する組織は、不十分なリソース割り当てから非効率なワークフローおよびプロセスをはじめ、数多くの課題に直面します。Wrikeによる2019年度の「プロフェッショナルサービス業務のベンチマーク」レポートでは、アンケートに回答した企業の17%が顧客解約のトップの理由として「理解しにくい請求方法またはアクティビティのトラッキング」を挙げています。
請求はあらゆるビジネスにとって重要な作業であり、これによって企業は顧客やクライアントの代理として実行した業務の報酬を受けます。しかしこのプロセスは常に明快でシンプルなものではありません。請求は非効率で時間のかかる作業なのです。
同じWrikeのアンケート調査にて、回答者の3分の1以上が請求可能時間のトラッキングに週2時間から3時間費やし、回答者の10%は週に4時間以上費やすと回答しています。
プロフェッショナルサービス企業の請求方法は様々です。例えば、マーケティング企業などは、法的サービス企業や建築事務所とは異なった請求ストラクチャとなっています。これは業務の本質が異なるからです。
適した請求ストラクチャやタイムトラッキング手法、支払い条件は、すぐれたプロフェッショナルサービス請求ソフトウェアと同様に顧客解約を防ぎます。適切なタイムトラッキング手法はまた、請求可能な作業を実際より少なく報告して収入をミスしないためにも大変重要です。
効率的なソフトウェアを利用してタイムトラッキングを合理化し、反復的タスクまたは時間のかかるタスクを自動化します。
本セクションでは、各種の請求モデル、請求可能時間のトラッキング、クライアントへの請求書発行、およびWrikeがプロフェッショナルサービスの請求方法をより合理化し効率化するプロセスをお手伝いする方法をご紹介します。
請求モデルの選択
プロフェッショナルサービスの請求方法は「汎用的」ではありません。 ITチームに適した手法が会計事務所には不適切な場合もあり、実行する業務の本質に適した請求モデルを選択することが重要です。
以下をはじめとする請求モデルが多く利用されています。
- 固定価格/プロジェクトベース固定価格請求はクライアントへの請求としては最も簡単な方法です。同意した価格を請求する方法です。プロジェクトの当事者がプロジェクトのコストが2,000ドルであると同意した場合、プロジェクト完了時にその金額を支払います。コストの変動がほとんどないプロジェクトでは理想的な方法です。
- 日給または時間給その名称通り、要請された作業やコンサルティングサービスにかかった時間に従って請求します。これらは請求可能時間です。日給も本質的には同様ですが、時間給ではなく、このシナリオの場合、コンサルタントは固定日給で支払われます。
- マイルストーン請求 マイルストーン請求では、プロジェクトのマイルストーン到達時に支払いが発生します。プロジェクト成果物の納品後に支払いを受ける代わりに、プロジェクトのライフサイクルを通して料金を配分します。
- 実費精算契約実費精算契約は、供給コストや設備コストなどによって経費が変動するビジネスやクライアントに最も適しています。実費精算契約にはマテリアルのコストや諸経費、労働費などが含まれます。
固定価格契約と実費精算契約の比較
固定価格契約と実費精算契約の請求方法は大きく異なります。固定価格ストラクチャはマテリアルの費用や労働費が変動しない業務を実施する組織に理想的です。しかし、実費精算契約では、成果物や正確なコストがすぐに明らかにならないプロジェクトやタスクを実施する請負業者の経費回収に適しています。
例えば、会計事務所が貴社の毎年の納税作業を定額200ドルで引き受けるとします。この作業はマテリアルやその他の不確定要素のコスト変動はありません。しかし家の増築作業を請け負う業者などは様々なコストを考慮する必要があります。プロジェクト開始時には不明瞭な要素が多々あります。労働費やマテリアルの値上げ、および請求可能な作業/請求不可能作業について慎重に交渉しなければなりません。
クライアントはまた、業者が請求できる金額に上限を設ける「超過禁止」条項を求めることもあります。これは回収できるコストの最高限度を定めるため、プロジェクトの引き延ばしを阻止します。
リテイナー費用とは何でしょうか?
リテーナー費用は、コンサルタントや弁護士などのサービスを「保持する」ための前払い費用です。リテーナーは通常、実行する作業の見積もりを表します(時間給に、プロジェクト/ケースの完了に必要な時間数を掛けたもの)。
単発のプロジェクト/ケースではなく長期のサービスが必要な場合、顧客が月決めのリテイナー費用を支払うこともあります。この場合は定期的な収入が得られるため、コンサルタントにとっては有益な方法です。
請求可能時間 vs 請求不可能時間の比較
クライアントの代理で実行した作業への請求は単純なように見えますが、それぞれ複雑性を抱えています。非効率なタイムトラッキングは、気組織にとっての請求可能時間の見落としにつながります。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが実施したスタディによると、請求対象となるコンサルティング業務の15%がクライアントに請求されていないことがわかっています。
また請求可能な活動と不可能な作業の判断が曖昧な場合もあります。簡潔に言えば、請求可能な作業とは、プロジェクトまたはイニシアチブのニーズを前進させ、対処する作業です。
請求可能時間 vs 請求不可能時間とは何でしょうか?
請求可能時間とはクライアントに請求できる作業に費やした時間を意味し、プロジェクト完了に必要な作業がこれに当てはまります。
請求不可能な作業には、従業員や組織にとってメリットにはなるが、プロジェクトの最終結果にとってはメリットとはならないものが含まれます。従業員のトレーニングや新規ビジネスチャンスの追求などは、通常、請求可能な作業とは考慮されません。またクライアントの接待や請求書作成なども請求可能時間には含まれません。
請求可能な作業にはリサーチ、デザイン作業、プロジェクト関連の事務作業(クライアントの代理として書類を作成し保管するなど)、およびプロジェクトの完了に必須な作業などが含まれます。請求可能な作業は、Wrikeをはじめとするソフトウェアを使って トラッキングし 、実行してください。Wrikeのタスクタイマーは特定の活動に費やした時間を自動的に記録します。Wrikeのタイムログビューではタイムログを手動で入力し、表示できます。
請求可能時間 vs 請求不可能時間の詳細をさらに理解することで、従業員がどの作業に時間を費やしているかが明確になります。例えば、従業員がプロジェクトに関連しない事務作業に多大な時間をかけている場合、ワークフローの一部の自動化を検討する必要があるでしょう。
請求可能時間の計算方法
請求可能時間を計算する第一歩は、請求可能な作業と請求不可能な作業の分類です。その後にタイムトラッキングのソフトウェアを使ってこの作業に費やした時間を把握します。
請求可能時間は、請求可能な活動に費やした時間を合計します。クライアントに請求できる時間数を把握したら、それにレートを掛けます。例えば、コンサルタントのレートが1時間75ドルです。プロジェクト関連の活動にかけた時間が5時間の場合、クライアントに375ドルの請求書を送付できます。
プロジェクトによって、また特定の従業員が作業した場合は高いレートで請求できる場合もあります。誰がどのタスクを実行しているかを把握し記録することが重要になります。
クライアントへのプロジェクトの請求書発行
請求書は提供したサービスの性質とコストの詳細を記載したドキュメントで、購入者がサービスに対して何をいつ、またいくら支払うかが記されています。
一般的な請求書には、企業名、日付、サービスの詳細、請求書ナンバー、支払い方法などが含まれています。30日以内の支払いや延滞料の条件を規定するなどの支払い条件が含まれる場合もあります。
クライアントに送付する前に、請求書に正確な日付や請求書ナンバー、詳細が記されていることを確認することが重要です。請求書に誤りがあると支払いの遅れなどにつながり、業者やフリーランス、コンサルタントにとってはビジネス上の痛点になります。
業者に対する一般的な支払い条件
期日までに確実に支払ってもらうプロセスは、業者やプロフェッショナルサービス企業にとってストレスが溜まる作業となることがあります。ここでは、契約条件に同意してプロジェクトを納品したにもかかわらず、クライアントの支払いが遅れていると仮定しましょう。
支払い条件を作成することで支払いの遅れに対応することも可能です。
業者への一般的な支払い条件には以下が含まれます。
- 支払期限:7日、21日、または30日
- プロジェクト費用プラス延滞料
- 前金として50%の支払い
- 期限前に支払いする場合の割引
これらの支払い条件を明記しても、クライアントが期限通りに支払うかどうかは定かではありません。2016年度、期限通りに支払いをした中国の企業は わずか26%で、請求書の発行から30~90日後に支払った企業は15.5%でした。
正確な請求可能時間を追跡し、自社に適した料金体系を使用することで、業者やプロフェッショナルサービス企業は効果的な価格決定と請求プロセスを確立できるのです。そのすべてのステップをWrikeがお手伝いします。