マーケティング計画書の策定
マーケティング計画書とは?
マーケテイング計画書は企業のマーケティング戦略の目標を達成するために、マーケティングチームが行う活動の概略を示した文書です。この目標を達成し、潜在顧客にリーチし、製品についての情報を提供し、長期的な顧客を生み出すためのロードマップなのです。マーケティング計画書にはあらかじめ企画された様々なマーケティング活動についての情報、および四半期または年間計画における測定可能な目標の達成を目指して使用する手法が含まれています。
マーケテイング計画書には通常、マーケティング調査、競合他社の分析、購入者ペルソナなど、マーケティング戦略文書から直接得た情報が含まれます。この重要な情報は企業の日々のマーケティング活動の方向性と領域を示すために役立ちます。
マーケテイング計画書はマーケティング戦略全体、または戦略の各構成要素に取り組むために設計することもできます。企業がデジタルマーケティング計画や、SEOマーケテイング計画書の策定を求めることもあり、その場合は各計画にてそれぞれのチャネルのみに取り組むことになります。これらの具体的な計画には、関連する市場調査、ターゲットとなる人口統計、およびそれらのカテゴリーですぐれた結果を得るためにマーケティングチームが計画したマーケティング活動などが含まれます。
さまざまなマーケティング活動
徹底してターゲットを絞ったマーケティング計画書を策定するには、まず企業のマーケティング計画書に含まれるマーケティング活動の検討が重要です。ほとんどの企業は、さまざまなマーケティング活動を組み合わせ、企業、ブランド、製品、サービスなどを宣伝するバランスのとれた計画書を策定しています。
ほとんどのマーケティング活動は、アウトバウンドマーケティング活動とインバウンドマーケティング活動の2つのカテゴリーに分けられます。
アウトバウンドマーケティング活動
アウトバウンドマーケティング活動は通常、見込み客へのリーチを意味します。顧客がまだ貴社の製品を探し始める前であれば、この活動は顧客の「邪魔をしている」と思われることもあるでしょう。アウトバウンドマーケティングでは、自社製品に関する情報を様々な人に発信しますが、通常はターゲットを細かく絞らないまま大勢の見込み客にアプローチすることになります。ここでは、マーケテイング計画に加えるアウトバンドマーケティング戦略をご紹介します。
- テレビ、ラジオ、印刷物、広告用掲示板による広告: 従来利用されてきたこれらの広告形態はデジタル広告に取って代わられましたが、広告対象者層の規模によってはまだ効果を発揮します。
- 電話勧誘販売: 電話勧誘販売とは、見込み客リストを作成して電話で連絡を取ることです。 スマートフォンの時代になり、着信番号が不明の場合潜在顧客は電話に出ないことが多く、この手法はますます困難になっています。
- メール広告: メール広告では、企業が直接メールを通じて潜在的顧客とコミュニケーションを図ります。ニュースレターやリードナーチャリングメールなどの形態で実行し、通常は顧客に今後の販売やニュース、イベントなどを知らせることを目的としています。
- イベントマーケティング: 顧客向けのイベントを企画したり、第三者のイベントや会議に参加したりすることもアウトバウンドマーケティングのひとつで、貴社の製品やサービスに関する資料を直接参加者に手渡すことができます。
- コンテンツシンジケーション: 目的を持って記事や貴社のブログ記事を再度第三者のウェブサイトに掲載することをコンテンツシンジケーションと呼びます。
- デジタル広告: デジタル広告は、アウトバウンドマーケティングのツールの中で最も急成長している最大のマーケティング戦略の一つであり、次のようなものがあります:
- ディスプレイ広告、ソーシャルメディア広告、電子メール広告、動画広告:様々なウェブサイトやソーシャルメディアのチャンネル上、または電子メールによるコミュニケーションなどに、画像、テキスト、または動画を掲載して費用を支払うことは、直接的なデジタルマーケティング戦略です。
- 検索エンジンマーケティング: 検索エンジンマーケティングのひとつにクリック報酬型広告(PPC)と呼ばれる有料広告があります。企業は、特定のキーワードを使った検索結果に自社名が表示されるよう費用を支払いますが、ユーザーがリンクをクリックした場合のみ料金が発生します。
- ネイティブ広告: ネイティブ広告とは、対象者がアクセスするブログやソーシャルメディア、またはウェブサイト上で、貴社の製品やサービスが他のコンテンツの外観や雰囲気とマッチするように表示してもらうための有料広告です。
- OTT広告: オーバーザトップ広告とは、ストリーミングサービスやスマートデバイス上で、見込み客を対象に映像やデジタル広告を表示する有料広告です。
インバウンドマーケティング活動
インバウンドマーケティング活動では見込み客を引き寄せ、解決策や製品を求めている対象者を前向きに活用し、見込み客が積極的に探している有益なコンテンツや解決策、製品などを提供します。インバウンドマーケティング活動には以下のようなものが見られます。
- ソーシャルメディアマーケティング: ソーシャルメディアマーケティングでは、Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeなどのチャンネル上で、対象者にとって有益で魅力があり、かつ利便性のあるコンテンツを作成することで、フォロワーがコンテンツに「いいね!」を押したりシェアをし、対象者を見込み客に変えていくことを目標としています。
- SEOマーケティング:アウトバウンドの検索エンジンマーケティングでは広告費が発生するのに対し、インバウンドの検索エンジンマーケティングは、潜在的な顧客が特定のキーワードおよび一連のキーワードを使って検索した際に、ウェブサイトのコンテンツが上位に表示されるよう最適化を試みます。
- コンテンツマーケティング:コンテンツマーケティングとは、見込み客を惹きつけ維持するために、価値のある有益なコンテンツを作成することを意味します。コンテンツマーケティングには、ウェブサイトやブログのコンテンツ、ソーシャルメディアで共有できる動画、有益な情報を提供する電子書籍、コンセプトを視覚的に分かりやすくまた共有しやすい形で表現したインフォグラフィックなどが含まれます。
- イベントマーケティング: インバウンドイベントマーケティングでは、見込み客を惹きつけるためにオンラインや対面式のイベントを企画し、開催します。企業は業界での知名度を上げるためにパネルディスカッションやウェビナーを開催し、対象者にブランドを知ってもらうことで営業部門のリードを生み出していきます。
インバウンドマーケティング活動とアウトバウンドマーケティング活動には、それぞれ長所と短所があります。インバウンドマーケティング活動は一般的に低コストで、的を絞った少数の対象者にリーチできますが、高コストのアウトバウンドマーケティング活動ではより幅広い対象者にリーチすることができます。多くの場合、インバウンドとアウトバウンドの戦略の組み合わせが、顧客の獲得および維持のための最良の手法とされています。
さまざまなマーケティング計画書
特定層の見込み客への取り組みや、新製品やサービスを宣伝するために企業が策定するマーケティング計画にはいくつかの種類があります。マーケティング計画には、上記のマーケティング活動のひとつを選んだり、複数の活動を組み合わせてより広範なマーケティング計画を策定することもできます。
以下は、最も一般的なマーケティング計画の種類です。
- プロダクトマーケティング計画:プロダクトマーケティング計画は今後販売する製品の宣伝を目的としたもので、イベントマーケティング活動やコンテンツ制作などが含まれます。
- ブランドマーケティング計画:ブランドマーケティング計画は、特定の製品、または製品の販売開始ではなく、企業のブランド全体を宣伝し知名度を高めるために設計します。これにはブランドの認知度を構築するソーシャルメディアキャンペーンのような活動や、ブログのネイティブ広告で顧客基盤の特定層に対してブランドの価値や目的を詳しく広めるための活動が考えられます。
- 統合型マーケティング計画: 統合型マーケティングキャンペーンとは、異なる領域のチャネルを考慮に入れ、それぞれのチャネルでブランドのメッセージングやボイスの統合を目指すものです。
- デジタルマーケティング計画: デジタルマーケティング計画にはデジタルまたはオンライン空間におけるチャネル領域が含まれるため、他のマーケティング計画とは別の構成要素としてよく設計されます。デジタルマーケティング計画には、Seo最適化やPPC広告、ソーシャルメディア、コンテンツマーケティングなどが含まれます。
- キャンペーンマネジメント計画: プロダクトマーケティング計画と同様に、キャンペーンマネジメント計画では、マーケティングキャンペーンを成功させるために必要な各要素を詳しく説明します。メールマーケティングやソーシャルメディアマーケティング、従来の印刷物、およびさまざまな形式のコンテンツを通した見込み客との多くの接触が含まれます。
マーケティング計画書に含めるべきことは?
マーケティング計画は、企業がマーケティング戦略を成功させるためのロードマップです。目標を達成するためにはマーケティング部門が特定のチャネル、キャンペーン、プロジェクト、およびステップについて、かなり踏み込んだ活動をしなければなりません。そのためにもマーケティング計画には次のような要素が必要です。
- ミッションステートメント、主要目標、目的を含むブランドの概要
- マーケティング計画の具体的な目標と、それがビジネスの全体的なマーケティング戦略に対して果たす役割
- 関連する市場調査、バイヤーペルソナ、競合他社の分析
- マーケティング計画で実行するマーケティング活動のリストと、それに対するマーケティング実施計画スケジュールの概要
- 測定可能なベンチマークを提供する主要業績評価指標
- 項目別予算
- 分析、最適化、およびマーケティング計画再検討のプロセスとタイムライン
デジタルマーケティング計画などのより専門的なマーケティング計画では、必要とするさまざまなチャンネル、そのサポートに必要なアセット、そして関連するワークフローの詳細についてもさらに詳しく踏み込みます。
マーケティング計画書の策定プロセスの確立
マーケティング計画書の策定プロセスを確立することは、あらゆるマーケティング部門にとって重要です。これはチームが毎年異なるキャンペーンを支援するために、複数の実質的なマーケティング計画が必要になるからです。
確固としたマーケティング計画策定プロセスではいかなる段階も省略せず、詳細を見落としません。そのように策定されたマーケティング計画は企業の目標達成において大きな役割を果たします。
マーケティング計画の策定プロセスには、次のようなステップが含まれます。
- マーケティング計画の具体的な目標を明らかにする
- 同分野で以前に行ったマーケティング活動を確認し、成功または失敗であったかを判断する
- 市場調査を行い、現市場の状況と市場における自社のポジションを確認する
- 調査を分析し、マーケティング計画の対象者を決定する
- マーケティング計画の予算とスケジュールを決定する
- マーケティング目標の達成に必要なマーケティング活動を選択する
- 責任者を決め、実行のためのマーケティング計画カレンダーを作成する
- マーケティング計画の再評価、分析、調整のプロセスとスケジュールを決定する
マーケティング計画のプロセスは、マーケティング部門の経営陣レベルのチームメンバーが、さまざまな活動やチャネル
の担当者からの情報を得て、実施します。
マーケティング計画書策定に使用するツール
マーケティング計画書は複雑になりやすく、その実行には多くのプロジェクトやプロセス、スタッフ、さらには第三者ベンダーの管理が求められます。マーケティング計画を軌道に乗せるためには、チーム全体で同期できるカレンダー や安定した業務管理ソフトをはじめ、適切なマーケティング計画用ツールなしでは困難です。
マーケティング計画書のテンプレート: マーケティング計画書のテンプレートを使って、マーケティング計画書を容易に策定できます。将来のマーケティング計画に含める反復活動を記録でき、時間を節約しリソースを最大限に利用できます。
統合型カレンダー: マーケティング活動を計画するには、綿密なスケジュール管理が必要です。チームメンバーのカレンダーとタスクを統合する業務管理ソフトウェアを利用すれば、メンバーがミーティングや締め切りに遅れることがありません。
プロジェクト管理ソフト:カンバンボードやガントチャートを使って複雑なプロジェクトを表示でき、各メンバーはマーケティング計画の実行プロセスにて自身の役割を確認できます。Wrike for marketersのようなプロジェクト管理ソフトウェアを利用すれば、マネージャーはチームメンバーに何度もメールで確認を取る必要なくプロジェクト全体の状況を確認できます。
コンテンツ管理ツール:企業は、ウェブサイト管理用のCMSからソーシャルメディアのスケジューリングソフトまで、さまざまなコンテンツ管理ツールをよく使用します。コンテンツ管理ツールを統合したプロジェクト管理ソフトウェアで、時間のかかる作業が効率化できます。
マーケティング部門を強化するための具体的なマーケティングツールについては、マーケティングツールとソフトウェアのセクション
を参照してください。