真っ先に認めましょう。友人や知り合いが、真新しいChatGPTの機能を褒め称えているのを初めて見たとき、私は懐疑心で眉をひそめました。 20年間の訓練と実践を経ているのをよそに、自分がブログのタイトルを書く間にも、記事や論文を素早く執筆してしまうツールについてインターネットが盛り上がっている様子は、ライターとしてあまりうれしくは感じませんでした。 

とはいえ、この数年間Wrikeに勤めて学んだことがあるとすれば、それは、仕事の最も嫌な部分を自動化して、最も重要な作業に集中できるようにするうえでAIが役立つということです。 

そのことを念頭に置きつつ、ChatGPTがライターとしての自分の仕事にどう役立つことができるのか理解するため、ChatGPTの世界について 掘り下げてみました。 以下で、私がChatGPTについて学んだこと、またChatGPTを各自の役割にどう役立てられそうなのかを紹介します。 

ChatGPTとは 

ChatGPTは、OpenAIという企業が開発し、2022年11月に一般向けにリリースされたAIチャットボットです。 ChatGPTに質問またはプロンプトを入力することで、複雑な質問への答えを生成したり、期末レポートの概要を出力したり、歌詞、詩、コードを記述したりすることさえできます。 一連の材料に基づいてレシピを提案したり、次の旅行のおすすめのコースを提案したりすることもできます。 

Googleなどの検索エンジンに質問を入力して、何百件もの結果から自分で選別する代わりに、良くも悪くも、ChatGPTがその選別を行ってくれます。 パラメータに基づき、ChatGPTは質問者に最適な答えを予測して、数秒で結果を出力します。 

また、ChatGPTは質問に対して会話形式で返答するため、全体的に単純な検索エンジンを使うのとは違った体験になります。 

ChatGPTの仕組み 

ライターとして、自分の生計手段の脅威になりうるAIモデルがどれだけ重要なのか、基礎を理解しておくと役立つと思います(苦笑)。 基本的に、ChatGPTは、人間によって訓練され、洗練されたAIの一種です。 

ChatGPTのGPTは、generative pre-trained transformerの略ですが、これは、大量のテキストを利用して、人間のような応答を作成する言語モデルのグループです。 ChatGPTの場合、AIは人間によって、報酬システムを使用して訓練されています。 基本的に、特定の状況でどのように反応するかを人間がChatGPTを訓練し、AIがその例から学習します。 

ChatGPTや他の言語モデルは、さまざまな分野に精通しているように思えますが、感情を持っていないということを覚えておくのが重要です。 ただし、巨大なデータプールから情報を引き出し、人間の訓練に基づいて、質問者が最も求めていそうな情報に関して決定を下します。 

ChatGPTでできること

インターネットが提供する情報の宝庫から引き出してくるため、ChatGPTが役立ちそうなタスクのリストはほぼ無限です。 以下に、ライターの日常作業でChatGPTが役立つ機能の例をいくつか示します。 

  • 文法のチェック:メールの送信前や、eBookの発行前に文法チェックをしたいのであれば、 ChatGPTがやってくれます。 ただし、100%確実というわけではないので、人間のエディターができるようなフィードバックは得られず、あなたが気付かないかもしれない、新たな文法の問題を加えてしまうこともあります。 
  • トピックの背景情報を素早く理解する:複雑な、あるいは自分にとって新しいトピックの基礎を理解しておく必要がある場合に、ChatGPTに要約を生成してもらうことができます。 引き続き自身で調べる必要もあります(それについては後述します)が、ChatGPTは複雑な問題をのみこみやすいように段落に分けてまとめてくれるので、これまで知らなかった何かについて、理解し始めることができます。 
  • 長文の開始点を提案:ライターとして、課題やタスクに直面した際に、最も難しく感じることがあるのが、「始める」ことです。 空白のページを見ると、本当に怖気づいてしまうことがあります。 ChatGPTに、ホワイトペーパーの概要や、ブログ記事のトピックポイントを作成するように頼めば、そのタスクの完遂に向かうきっかけを与えてくれるでしょう。 

これらは、ChatGPTの制約を理解している限り、ライターの日常作業に関して非常に有用な要素になる可能性があります。 それでは、その制約について、もう少し詳しく見ていきましょう。 

ChatGPTの欠点

ChatGPTが最初にリリースされたとき、高校生がレポートの代筆を頼めるようになる、マーケティング部門がChatGPTを利用して長文のコピーを書ける、あるいは、いよいよ人間がAIに取って代わられるかのように思われました。 精査と多くの試行錯誤を経て、そうはならなさそうなことが分かりました。 Wrikeのコピーライターとしての私の仕事は、恐れていたほど脅威にはさらされていないようです。 

それは、依然として、人間にはできてもChatGPTにはできないことがあるからです。 ChatGPTは人間によって訓練されているかもしれませんが、大きな制約もあり、もしマーケティング担当者の代わりに使おうとしていたなら、いったん思いとどまるでしょう。 

  • 不正確な情報を出しがち:残念ながら、ChatGPTの大きな欠点の1つが、情報をでっちあげてしまう場合があることです。 引き続き自分で調べて確認し、自分の結論を導き出さなけばいけません。 ChatGPTは、そのプロセスで有利なスタートを切れるように補助し、最も有用そうだと考えるリソースを与えてくれますが、事実上正確なものとして頼るべきではありません。 実際に、ChatGPTの生みの企業であるOpenAIは、この制約について、同社のサイトに次のように記載しています。「ChatGPTは時々、もっともらしく聞こえるが、不正確あるいは意味をなさない答えを書き出します。」
  • 追加の編集が必要:ライターである筆者の観点からすると、ChatGPTを使用すると、そもそも自分で一から書き上げる文章よりも、編集にかかる時間が長くなります。 ChatGPTにブログ記事の最初の数段落か序文を書かせるだけでも、正しい語調と必要な情報の正確性のために、かなりの編集が必要になります。 
  • 固有のバイアスが含まれる:残念ながら、ChatGPTのもう一つの制約は、基準となる訓練によって永続してしまう、人種や性別に関する偏見が含まれる場合があることです。 ChatGPTは、ユーザーが求める答えを推測・仮定すること、そして受けた訓練に基づく部分が大きいため、差別的な仮定をして、潜在的に有害な答えにつながることがあります。 慎重に扱うべき話題について執筆する際に、それを考慮することが重要です。 

テクノロジーが自分の役割を奪ったり、不要にしてしまうと多くの従業員がおそれているのも無理はありませんが、少なくともChatGPTの場合は、そうなる可能性は低そうです。 そうではなく、AIとテクノロジーを自分の強みとなるように活用する方法を知っている人が、その特定の役割に取って代わることになるでしょう。 そのため、AIが私たちの役割を強化してプロセスを改善できる方法にフォーカスすることが、より一層重要になります。 

近いうちに、私のコピーライターとしての毎日のプロセスをChatGPTに代わってもらうことはありませんが、ChatGPTを使って、より煩わしいプロセスを補助してもらい、合理化する方法は確実にあります。 今度、ライターとしてつまずきを感じた場合は、ChatGPTを利用して、インスピレーションを得たり、基礎の要素をいくつか作ってもらい、自分で手を加えたりするかもしれません。 

ChatGPTが自分の仕事の大部分に取って代わることはできないかもしれませんが、AIの新たな時代に突入する中で、この技術は知っておくべき重要な進歩でしょう。